【第2回】下回りの左半分を極限まで清掃するチャレンジ【ブラスト編】

クルマの下回りの美観を復元するチャレンジをはじめました。

目指すのは、「新車同等の美しさ」。

美しい下回りの見た目を取り戻すために、工程ごとに作業内容と効果を紹介していきます。

前回の手洗い編に続き、この記事ではブラストの工程について書いていきます。

関連記事 【第1回】下回りの左半分を極限まで清掃するチャレンジ【手洗い編】 スポンサーリンク

ブラストとは

ブラストとは、メディアと呼ばれる研磨剤を高速で衝突させる加工・表面処理のことです。
表面のサビや汚れを落とし、美しく仕上げる方法として有名です。

加工対象は鉄やアルミ、銅などの金属部品が主。

開発現場では、まれに寸法調整のために裏技として使うこともありますが、まあこれは、胸を張って紹介できるものではないです。

話が逸れました…

美観復元の常套手段

ブラストに使うメディアは用途や加工対象の素材に合わせ、大きさや硬さを多様な種類から選定することができます。

メディアを吹き付ける流体には、圧縮空気を使うこともあれば、高圧の水を使うこともあり…
施工が簡単にできるにも関わらずその効果が大きいことから、様々な適用例があります。

特にメディアにガラスビーズ、流体に水を使ったウェットブラストは、その美しい仕上がりからレストア愛好家の方に支持されています。

下の写真は、私が変速機のアルミケースにウェットブラストを施したときの写真です。

写真の左側の部品は、ウェットブラスト施工後のもの。

表面は半光沢となり、美しいアルミの肌を取り戻しています。

ブラストとは、クリーニングを行うための常套手段とも言えます。

ブラストにも弱点がある

そんな万能に思えるブラストですが、弱点もあります。
それは、施工できる部品の大きさに限りがある、ということです。

ブラストは基本的に、メディアを回収しなくてはなりません。
多くの場合、砂やガラスビーズなどのメディアは産業廃棄物となりますので、外に垂れ流しというわけには行かないからです。

ブラストを施工する設備では、したがって閉空間を作らなければならず、これが加工できる部品の大きさの制約となることがあるんですね…。

例えば自動車のホイールをブラスとする場合、ブラストができる設備の中では大型のものを使用しなくてはなりません。
それ以上大きな部品に施工することは、容易でないです。

使用するメディアは重曹

反対に、メディアを回収する必要がなければ閉空間である必要はなく、開放された空間で大きな部品にブラストをかけることができます。

そこで注目されているのが、重曹ブラストです。

重曹ブラストとは、メディアに重曹を使ったブラストのことです。

重曹はマイルドな研磨剤

重曹は、家庭でも非常に馴染みのあるものですね。
食品用だけでなく掃除に使うことができる重曹は、マイルドな研磨剤としても知られています。

重曹ブラストは、この重曹の特性をブラスト処理に活かそうという発想です。

メディア回収無しで使用できる

重曹の何が良いかって、回収をする必要が無いこと。
ガラスビーズやアルミナなどのメディアと違い、重曹は自然界にある物質なので、設備で閉回路をつくってメディアを回収する必要がありません。

そんなわけで重曹ブラストは、普通のブラスト用設備には入らない大きさの部品との相性が良いということです。
今回のチャレンジのようなクルマの下回りの洗浄には、まさにこの方法が適していると考えました。

NOTE

さらに進んだブラストとしては、ドライアイスブラストが存在します。

これはメディアにドライアイスを使うというもの。
汚れが除去された後は、メディアであるドライアイスが昇華して気体となってしまいますから、メディアを洗い落とす必要がありません。

設備導入の初期投資がネックとなるものの、エンジンのポートや自動車の下回りなどに施工する例もたくさんあります。
今後ますます注目されていくでしょう。

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重曹ブラストの威力を試す

さっそく、重曹ブラストの施工をしてみます。

今回使用したノズルは、高圧洗浄機の水圧を使うタイプのものです。 ブラストの分類としては「水+メディア」を吹き付けるウェットブラストと呼ばれる加工となります。

ノズルそのものは、水が出る勢いで負圧が作られ、重曹を吸い上げる仕組みのもの。
商品の情報は、この記事の末尾に載せています。

基本的には高圧洗車の手順と同様、センサ類やシール部を避けて作業していきます。

前回の手洗いで落ちなかったこびりついた汚れや、軽度の錆を狙って作業してみました。

ブラストの基本は、洗浄したい部品に対して直角にメディアを当てること。

面に対して、正面からメディアをぶつけるイメージですね。
感覚的にも、そのほうが粒子が汚れにしっかり作用することが想像できます。

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重曹ブラスト施工後の状態

施工終了後の下回りの様子です。

こちらはドライブシャフトのブーツバンド。
ブラシでは落ちなかった汚れが取れて、バンドの素材が現れました。

スタビライザーリンクのねじ部には軽度の錆が発生していましたが、完全に取れています。

一方で、ブレーキホースのステーの錆は深く進行しているせいか、黒く腐食した部分が残りました。

タイロッドエンド。
カチオン塗装表面の汚れがいくらか落ち、美しい半光沢の層が現れています。

メッキされたボルトも、光沢が復活しました。

こちらはリヤ。
ブラシでは落ちなかった頑固な汚れが、見事に落ちています。

一部汚れが残っていますが、こればブラストの時間が足りなかっため。
処理を徹底すれば、完全に落とせることを確信できる結果となりました。

同時に、トルクチェックをしたときに施された白のチェックペンが、一部剥がれていることも確認できます。

今回の作業でわかったこと

ブラストの当て方は、「軽く表面の汚れをさらう」イメージ。
あまりに長時間当てすぎると、塗装そのものや、素材を削り込んでしまうリスクもあります。

一例がこちら。
フロントのインナーフェンダーの汚れが気になったので、これでもかと当てた結果です。
時間にして20秒ほど。

ご覧の通り、白くまだらな模様が浮かび上がってしまいました。
こうした特に素材そのものが柔らかい場合は、ブラストの当て過ぎに気をつけなければならないことが分かりました。

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重曹ブラスト施工に使用した道具

今回の重曹ブラストでは、次の道具たちを使用しました。

  • 高圧洗浄機
  • サンドブラスターキット
  • 重曹

高圧洗浄機は、前回の記事でも紹介したものを使用しています。
水圧のみで洗浄するには役不足でしたが、ブラストを目的としてメディアを吹き付けるには、汚れの酷いクルマの足回りにも有効でした。

ブラストガン

肝心カナメのブラスト用のガンはこちら。

水圧によって重曹が吸われることで、水と一緒に重曹がノズルから吹き出す仕組みです。

嬉しいのが、圧の供給が水にもエアにも対応しているところ。
水の場合、ケルヒャーの高圧洗浄機用と互換性のあるアダプタが役立ちます。

ケルヒャー用アダプタは一部が真鍮製のため、使用後は十分に水分を拭き取って乾燥させておくのが良いです。
そうでないと、五円玉のように簡単に酸化していくので…。

まあそんな場合は、重曹と水で磨けばよいのです。
ちょうどいいところに材料が揃っているものです…笑

M MINGLE高圧洗浄機 サンドブラスターキット サンドブラストの付属品 1/4インチ(0.635cm)のクイックコネクト Karcher(ケルヒャー)のと互換性あるのアダプター 2500 PSI

重曹はひとまず5kgくらいあれば良い

今回私が準備した重曹は、4.7kg入のものです。

ひとまず重曹ブラストの効果を確認するために購入しましたが、軽自動車であるホンダ・ライフの左半分を作業するのに、おおよそ袋の半分である2kgほどを使用しています。

つまり1台分のサスペンション周りで4kg。
フロアも含めると10kgくらい必要と見込みました。

個体の状態によって左右されますが、ひとまずは5kgくらいを準備しておけば、作業時間、作業量どちらの観点からも十分です。
5kgであれば、買いすぎて失敗することも、少なすぎて失敗することも無いでしょう。

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まとめ

この記事では、「【第2回】下回りの左半分を極限まで清掃するチャレンジ【ブラスト編】」について書きました。

今回わかったことは次の通り。

  • 重曹ブラストは表層の汚れに作用するが、塗装やメッキは侵さない。
  • 重曹ブラストは樹脂部品に対して攻撃性があるため、過度な施工は避けるべき。
  • 重曹ブラストのための重曹の必要量は、クルマ1台分で10kg程度と見込まれる。

そして今回使用した道具たちは、こちらです。

M MINGLE高圧洗浄機 サンドブラスターキット サンドブラストの付属品 1/4インチ(0.635cm)のクイックコネクト Karcher(ケルヒャー)のと互換性あるのアダプター 2500 PSI

チャレンジは続きます。
次回は、錆を落としていきます。

次の記事 【第3回】下回りの左半分を極限まで清掃するチャレンジ【さび落とし編】 スポンサーリンク

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