【MINI】ブランド初の電気自動車 Cooper SE【ドイツメディアの評価を紹介】

MINIブランド初のBEV (Battery Electric Vehicle = 電気自動車)である、MINI Cooper SE。
MINIが都市向けに開発した小型プレミアムの電気自動車で、2020年に販売開始されました。
2021年にはベースモデルの3ドアのモデルチェンジに合わせて、一部改良が施されています。

この記事では、モデルの概要、適用された技術と、ドイツメディアの評価を紹介します。

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モデルの概要

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MINI Cooper SEは、MINIブランド初のBEVです。
他のOEMがBEV専用のデザインを採用する中、Cooper SEのデザインはMINIの3ドアをベースにしていて、ブランドのアイデンティティをいかに大事にしているかが伺い知れます。

ここでいうデザインは外観だけでなく、ボディサイズや内部のスペース、インテリアの雰囲気も指します。これらすべてが既存モデルをベースに開発されていますが、BMWによると、ベースとなった現行MINIは開発時からCooper SEへの拡張を考慮していたといいます。


MINI

新型MINI Cooper SEはMINIブランドの本国で生産されていて、オックスフォードにあるMINI工場の生産ラインで既存モデルと共に生産されています。このモデルの主要技術であるパワープラント技術は、BMWグループのエレクトロモビリティ・コンピテンス・センターで開発されました。

重量配分は、小型・軽量であるモータの特徴を生かして適正化されたとのこと
シート下にバッテリを備えることによって低重心化されたため、軽快なハンドリングを実現しており、高速コーナにおいても優れた操作性・安定性を発揮します。
このバッテリの位置は室内空間のユーザビリティへの影響も少なく、ガソリンエンジンのMINI 3ドアと同様、ラゲッジボリュームは211Lで、後席を倒すと731Lまで拡大することができます。


MINI

デザイン


MINI

MINI Cooper SEは、既存モデルの基本デザインをベースとしています。
前後のショート・オーバーハングやサイドに張り出したホイールはMINIそのもので、あくまでもMINIブランドのBEVであることを象徴しています。

細部のみそれと分かる差別化が施されていて、このモデルがBEVであることを示すアクセントになっています。


MINI

その一つは、充電部のリッド。給電プラグのロゴ「MINI Electric」があしらわれています。
このロゴの黄色バージョンが、サイド・スカットル、テールゲートと、フロントのラジエーター・グリルに配されています。(マイナーチェンジで一部デザインが変更されました)


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フロントグリルはモータに必要な外気の量に応じて、実際の開口部は小さくなっています。ヘッドライトはLEDが標準装備。


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Cooper SE専用のフロントグリルと同様に、大部分が閉じられた下回りと独特のデザインのリアエプロンは空気抵抗の低減を狙ったもの。排気管もないため、リアまわりのデザインも簡素化されています。
こういったエアロダイナミクスの適正化は、ボディだけでなく非対称デザインの17インチ軽合金ホイールにも及びました。


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Cooper SE専用品として開発されました。

しげ

ちなみにCooper SEは先述の通り3ドアがベースであり専用のプラットフォームを持ちませんが、バッテリを床下に収めるために車高を18mm上げる必要がありました。
この変化によって視覚的に影響が出ないよう、サイドスカートを下方へ延長することで腰高感を抑制しています。


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マイナーチェンジでデザインと安全技術が一部変更


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MINI Cooper SEは2021年2月にマイナーチェンジを受け、一部デザインが変更されました。
フロントセクションではラジエーターグリルの形状がより大型化され、グリルのエンブレムも「S」マークとなりました。


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今回のモデルには、MINI Cooper SEで初めて採用されたアイランド・ブルー・メタリックも登場しています。さらに、新色のルーフトップ・グレー・メタリックも選択可能。

MINIエレクトリック・コレクションには、「マルチトーン・ルーフ」が含まれています。これはサンマリノ・ブルー、パーリー・アクア、ジェット・ブラックのカラーグラデーションがルーフに施されるもので、オックスフォードのMINI工場ではにおける塗装の新技術によるものです。


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安全技術も一部改良されており、ハイ・ビームのマトリクス機能を備えたアダプティブLEDヘッドライトと、「レーン・デパーチャー・ウォーニング」が搭載されました。後者は車線逸脱を警告する機能で、ステアリング・ホイールの振動によって、ドライバにレーンからの逸脱を知らせるものです。
また、ドライバーアシスタンスパッケージプラスを選択すると、アクティブクルーズコントロールが装備されます。今回のモデルチェンジでストップ&ゴー機能が搭載され、クルーズコントロールが車両停止状態まで機能するようになりました。停車状態からの再発進時はアクセルペダルを少し踏むことで、クルーズコントロールの機能を再び有効化することができます。

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テクノロジー

135 kW/184 hpのモーター

Cooper SEの動力源は、BMWグループによって開発された同期モーターです。
最大出力は135kW (184ps)、最大トルクは270Nmで、前輪への動力伝達は、FF用横置きトランスミッションと同様、ディファレンシャルが内蔵されたギヤボックスを採用しています。

加速性能は0-60km/hが3.9秒、0 – 100 km/hが7.3秒で、最高速度は150 km/h(リミッター作動)です。

BEVであるがゆえに動力源からの音はほぼ聞こえませんが、アコースティック・ペデストリアンプロテクションが標準装備されており、スピーカから発生する音で歩行者へ存在を知らせます。
MINI Cooper SE専用の独特のサウンドは、スピーカーによって周囲へ発せられ、低速域でのサウンドでMINIの存在感を表現している、とのことです。

実際の動画をどうぞ。

しげ

ドライビングダイナミクスシステム

Cooper SEにおいても伝統的なゴーカート・フィーリングを実現するために、サスペンション・ステアリングは重量・重心高に合せて専用セッティングされています。Cooper Sよりも30mm以上低い重心高を、ダイナミクス性能へ生かしています。

Cooper SEにはまた、発進時のあり余るトルクを適正に制御したり、車両姿勢を適切にコントロールするために、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)システムが搭載されています。制御だけでなく、ハードウェアもBEVシステムに特化していて、従来のECUではなくドライブユニットに直載されたコンピュータで演算を行うことで、これまでのスタビリティコントロールよりも合理的な制御を行っているとしています。

MINI Cooper SEには4つのドライビングモードが用意されていて、トグルバーの右側にあるスイッチで切り替えを行います。


MINI

  • SPORTモード … ダイレクトなステアリング・モータトルク特性
  • MIDモード … 標準的なモード
  • GREENモード … 航続距離重視のモード
  • GREEN+モード … 航続距離重視のモード

GREEN+モードではより航続距離を重視するMINI Cooper SEの専用モードで、暖房、エアコン、シート・ヒーターなどの快適機能を制限または停止する機能が追加されます。

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BEVならではのワンペダル操作も導入

このモデルのもう一つの特徴は、ワンペダル操作が可能なこと。
特に加減速の多い都市部で役立つこの機能。踏み込んでいたアクセルペダルを戻すだけで、ブレーキを踏んだときに相当する減速度が得られる機能です。

モータが運動エネルギを電気エネルギに変換(=回生)し、バッテリに蓄えることでこの減速度が生じます。

しげ

ドライバはアクセルペダルを操作するのみで加速と減速をコントロールできるため、ペダルを踏み変える必要がなく、これが疲労軽減につながります。

さらにCooper SEでは、回生時の減速度を選択できます。スタートストップユニット左側のトグルスイッチにより、ドライビングモードとは独立して、減速度のレベルを強と弱から選択できます。

なお

始動時は自動的に強が選択されます!

デジタル・インストルメント・パネルを備えたモデル専用コックピット


MINI

ステアリングホイールの後ろに5.5インチのカラースクリーンを備えており、モデル専用の計器が標準装備されています。画面の中央には車速が表示され、周辺には目盛りが付いています。中央のライトリングには、選択したモードに応じて、赤(SPORTモード)、白(MID)、緑(GREENおよびGREEN+)の3色で速度帯が表示されます。


MINI

ディスプレイにはまた、バッテリーの残量、選択中のドライビングモード、運転支援システムの状態などの情報が表示されます。さらに、航続可能距離、現在の駆動力、外気温、時刻、走行距離などの詳細が表示されるほか、道路標識検出レポートやナビゲーションシステムからの高度な案内も参照可能。ナビ上には、充電レベルに応じて行動半径を示すレンジサークルを表示することができ、ルート案内が開始されると、最速・最短のルートに加えて、消費電力の少ない「GREENルート」も提案されます。

エアコン・システム

MINI Cooper SEには、2ゾーン・オートマチック・エアコン・システムが標準装備されています。これは運転席と助手席で個別に温度調節ができるもの。室内の暖房は、モーター、駆動制御、高電圧バッテリー、外気から廃熱を回収してエアコンシステムに供給するヒートポンプによって行われます。

これは従来の電気式暖房システムに比べてエネルギー消費量が75%少なく、冬のモードでも高いレベルの快適性を実現するもの。航続距離を伸ばすために、冷却回路と暖房回路は駆動ユニットと直結されており、高効率なシステムが採用されています。 エアコンとモータの制御システムは統合されていて、車内の温度と高電圧バッテリーの管理温度が、冷房と暖房それぞれ独立して制御されています。

オートマチック・エア・コンディショニングの機能もあり、出発前に車内を指定した温度まで温めたり、冷やしたりすることもできます。ドライバーは、MINI Connected Remote Appを使って出発予定時刻を設定し、事前に室内を調整することができます

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ドイツメディアのインプレッション


MINI

MINI Cooper SEの話になるとよく比較される相手、BMWのi3との比較記事が、ドイツの自動車雑誌auto motor und sportで紹介されています。
彼らは同スペックのモータをもつこの2モデルを比較テストしており、ドライビングのインプレッションについて次のように表現しています。

しかしこれは当然のことながら、MINIの方がはるかに楽しめる。スポーツモードでもノーマルモードでも、電気自動車のミニは、化石燃料を使う兄弟と同じようにコーナーを走り抜けるのだ。クーパーSEは、理想的なラインに忠実で、正確なステアリングで正確に位置を決めることができ、非常に安定したコースを維持することができる。E-Kleinwagen aus gleichem Haus im Testより引用

そもそもi3はMINIほど走りを意識したモデルではありませんが、タイヤサイズなども影響してハンドリングはMINIに軍配が上がりました。i3でスポーツ走行を試みるとアンダーステアの傾向があるものの、重心の低さや電子制御によって扱いづらさや嫌らしさはないことも表現されています。

乗り心地に関しては、次のようにレポートされました。

卓越したドライビングコンフォートはCooper SEの長所ではないので、MINIのクルーは少しリラックスできる程度である。悪路では乗員に少々負担をかけることになる。Cooper SEはサスペンションが非常にタイトで、粗いバンプを可能な限りフィルターを通さずに乗員に伝えようとする傾向がはっきりしている。それは、MINIの運転特性やキャラクターに合っているので、彼を責めることはできない。それよりもBMWの”鼓動”の方がはるかに厄介で、反応が悪く道路上でよろけてしまい、全体的に快適さに欠ける印象がある。E-Kleinwagen aus gleichem Haus im Testより引用

こちらもCooper SEに票が入りました。MINIの乗り心地は絶品でないにしてもキャラクターにマッチしていて許容範囲、i3は安定性に欠けていて、期待を下回る結果でした。

一方でi3は明るいインテリアの印象がよく、次のように評価されています。

子供に適したセカンドカーとして電気自動車を使いたい場合は、i3の方が良い思う。リアのスペースが広くなり、特徴的なリアドアからのアクセスも改善され、全体的に荷室が大きくなった。MINIに過剰な期待をしてはいけない。トランクには、炭酸飲料の箱とブリーフケース以上のものは入らない。また、後席のスペースに乗り込むには、ちょっとした工夫が必要だ。E-Kleinwagen aus gleichem Haus im Testより引用

テスト中の100kmあたりエネルギー消費に関しては、i3が17.3kwh/100km、Cooper SEが18.0 kwh/100kmと、車重が60kg軽量なi3のほうが僅かに優れているという結果ですが、「購入の決め手になるような燃費の違いはない」と結論づけています。

総評して、優れた走行特性、ステアリング、低価格のMINI Cooper SEが商品としては魅力的であるといったレビューでした。

まとめ

この記事では、【MINI】ブランド初の電気自動車 COOPER SE【ドイツメディアの評価を紹介】について書きました。

  • MINIブランド初の電気自動車
  • デザインや走りは伝統あるMINIの味付け
  • BEVならではのワンペダル機能も備え優れた操作性も提供

電気自動車の基幹技術を進化させながら、各社の色をつけたBEVが今後ますます普及するでしょう。Cooper SEはそうしたBEVの近未来を体現したモデルであると言えます。

お読みいただきありがとうございました。しげでした。

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