【ドイツのプロドライバー直伝】ドイツで運転するときの基本【アウトバーン編】

ドイツの高速道路、アウトバーン。 アウトバーンといえばドイツの道路と思いがちですが、オーストリアやスイスにも存在します。

中でもドイツのアウトバーンは、速度無制限の道路として日本でも有名ですね。 しかし、いつでもどこでも速度無制限というわけではありません

守らなくてはならないルールやマナー、注意点もたくさんあります。

しげ

「ドイツで車を運転する予定がある」
「アウトバーンも利用予定」
「注意すべきポイントを知っておきたい」

そんな方に、知っておくべきポイントをまとめました。
ドイツで運転する予定のある方は、あわせてこちらもご覧ください。

関連記事
【ドイツのプロドライバー直伝】ドイツで運転するときの基本【市街地/郊外編】 【ドイツでの運転】スピード違反をしないために気をつけるべきシーン5選

この記事の著者
しげ
自動車好きの自動車エンジニア。
欧州滞在経験あり。
車を使う仕事をしていたため、ドイツの教習所での訓練や、現地のプロドライバーの運転指導を受けました。
とにかく運転が楽しくて、ドイツを始め欧州諸国を年間5万キロのペースで運転していました。

スポンサーリンク

もくじ

アウトバーンへの入り方

アウトバーンを示す標識

下の図は、アウトバーンを示す標識です。

道路に陸橋が交差しているこのマークは、アウトバーンを示すものです。

文字がなくてマークだけのものもあります。

しげ

入るときは標識に従えばOK

アウトバーンへ入るときは、ナビや標識に従えば難しいことはありません。

でも、以下の点を覚えておくと便利ですよ。
ドイツではほとんどの場合、このパターンにあてはまるからです。

向かって右へ向かう時:アウトバーンの手前で車線変更

交差するアウトバーンの手前で右に車線変更すれば、そのまま右へ向かえます。

しげ

向かって左へ向かう時:アウトバーンを越えてから車線変更

左へ向かいたいときは、こんな風に奥で車線変更します。

しげ

ちなみに、アウトバーンで目的のインターチェンジを通り過ぎてしまったら、図のようにしてUターンすればOK
とても簡単に来た道を戻ることができます。

無料なので、料金所はありません

ドイツのアウトバーンは無料です。

日本のように料金所はありませんので、そのまま本線に合流してしまって大丈夫です。

隣国へ出るときは有料道路であることが多い

ただし、ドイツ国外へ出るときは、隣接する国の高速道路が有料であることが多いです。

ドイツに隣接する高速道路が有料の国
  • フランス
  • スイス*
  • オーストリア*
  • チェコ*
  • ポーランド

特に*をつけた国は注意が必要

ヴィニエットというステッカーを事前購入し、フロントガラスに貼らなくてはならないからです。ドイツから出る前に、ヴィニエットを購入しておきましょう。

購入場所は、
  • 国境手前のサービスエリア内ガソリンスタンド
  • 街中のガソリンスタンド
  • レジでヴィニエットをほしいことを伝えれば、簡単に購入することができます。
    各国のヴィニエットは有効期限が10日、1ヶ月、半年など複数の種類があるので、利用する期間にあわせて購入しましょう。

    NOTE
    支払いを怠った場合は罰金を課されますので、ヴィニエットは必ず購入しましょう。

    その他の高速道路が有料の国は、日本のように料金所がありますので、利用した距離に応じて支払えばOKです。

    フランスの料金所は、お金の投入口が遠い…。 無理だと思ったら車から降りて操作するもOKです。 大切なお金ですので。。

    しげ

    合流するときは

    合流車線が短いことも。しっかり加速しましょう!

    いよいよ本線に合流です。

    本線は速度の高い車が走行していますので、しっかり加速して合流しましょう。
    日本の高速道路とちがって、合流車線がとても短いこともあります。

    例えばこんなところも。

    A3を東方面に進むための合流車線なのですが、長さが極端に短い

    一方で、直前のコーナーがとてもキツイので速度を落としておかなければなりません。

    短い区間で、一気に車速をつけなければならない鬼のようなインターです。

    こんな状況では、フル加速が必要です。

    しげ

    早めにウィンカーを出して本線のドライバーの目にとまる工夫を。

    合流するときは、早めにウィンカーを出しておきましょう。

    本線を走るドライバーの目にとまりやすくなります
    相手が必要と判断すれば、車線を変えて避けてくれますよ。

    かんたんなことですが、確実に事故のリスクを下げることができます。

    スポンサーリンク

    走行すべき車線

    基本は右側の車線を走りましょう

    アウトバーンでは、基本は走行車線を走りましょう。

    • 走行車線 … 右側の車線
    • 追い越し車線 … 一番左側の車線

    アウトバーンでは、一番左側の車線が追い越し車線で、それ以外が走行車線となります。

    3車線なら右側2車線、4車線なら右側3車線が走行車線です。

    走行車線が2車線以上あるときでも、特に用事がなければ一番右側を走りましょう

    追い越す必要があるときのみ左から追い越しましょう

    速度の遅い車に追いついてしまったときだけ、安全を確認して追い越し車線から追い抜きましょう

    速度制限の無い区間では、超高速で後続車が迫っているケースもあります。

    念には念を入れて、十分後方まで確認しておきましょう

    右からの追い抜きは厳禁です

    右から追い越すことは厳禁です。

    日本でも左から追い抜くことは禁止されていますが、それでもたまにやっている人を見ますね…

    ドイツでは、そういうユルイ空気感はありません

    極まれに右から抜くドライバーがいたりしますが、そういう人は大抵ドイツ国外のドライバーだったりします。絶対にやめましょう。

    ただし追い越しに例外がある

    ただし、右から追い抜くことができる条件があります

    1. 渋滞の時

    渋滞のときや、混雑で車速が60km/h以下になるような状況では、右から抜くことができます

    まあ、この場合は「追い越しする」というよりも、「前車に追従する」という感覚ですね。

    しげ

    2. 車線を区切る破線が太い時

    アウトバーンの路線が分かれる時や、合流するときは、車線の間の白線が太い破線になっています

    この場所では、隣接する車線同士は異なるアウトバーンの路線という意味のため、右から追い抜くことができます。

    下の写真の場合、一番右の車線の左側の破線が太くなっています。

    この場所では、右から追い抜いてもOKです。

    こちらも路線の分かれ目で、5車線のうち右側2車線が白線が太いですね。

    左側3車線はA5、その右はA3のケルン行き、一番右はA3のミュンヘン行きで、それぞれ別の路線という扱いです。
    ここを走っているときは、左側の車両を追い抜いてOKです。

    追い抜くというより、そもそも路線そのものが別、という扱いとなります。

    しげ

    黄色の車線が優先

    工事区間などは、黄色の線が引かれていることがあります。

    この場合、黄色い車線に沿って運転します。

    白い線は無視です

    しげ

    なお、ドイツのアウトバーンの工事区間は、道幅が狭くなっても車線の数は変わりません

    車線がとても狭くなるので、注意して運転しましょう。

    トラックがとなりにいるとかなり怖いですw

    しげ

    スポンサーリンク

    制限速度は必ず守る

    市街地と同様、速度制限は必ず守りましょう。

    関連記事
    【ドイツでの運転】スピード違反をしないために気をつけるべきシーン5選

    推奨は130km/h

    ドイツのアウトバーンの推奨速度は、130km/hです。

    よほど事情がないときは、このくらいで走っているのが安全です。
    これより高速域では燃料の消費が多くなるため、経済的な観点からもおすすめです。

    下限は60km/h

    混雑時や渋滞をのぞき、アウトバーンを60km/h以下で走行することはできません

    違反したら罰金がありますよ

    しげ

    標識に従いましょう

    工事の区間や、急なコーナのある場所などは、速度が制限されています。

    速度制限がある区間では、標識に従いましょう。
    標識には電光掲示板のタイプもあり、こちらは交通状況に応じて速度制限がかかります

    朝のラッシュ時など、市街地を通過するアウトバーンで交通量が多いときなどは制限されることが多いです。 無制限区間で制限区間の看板が見えたら、確実にその速度まで減速しましょう。

    市街地と異なり、高い車速域から減速する必要なこともあるため、かなりハードなブレーキングをするドライバーもいます。

    実際は…スピードカメラがなければ、標識までに減速し終えるクルマは少ないのですけどね…w このあたりは経験ですw

    しげ

    牽引車は80km/h

    牽引車は80km/hが上限となります。

    キャンピングトレーラーや馬を運ぶトレーラーを牽引する車は安全に走行するために、比較的低速で走行しています。

    派手に横転して、キャンプ道具を3車線に渡ってばらまいたトレーラーを見たことがありますが…

    しげ

    上記以外の場所のみ制限速度はなし

    アウトバーンは無制限という印象をお持ちかもしれませんが、高車速で走行できるのは上記以外の条件下のみです。

    この標識がでたら、速度制限解除です。

    また、次のように速度制限の電光掲示板が消えていても、制限解除を意味します


    無制限区間であっても、減速が必要なコーナーが存在します。

    上の写真は無制限区間ですが、みんな150km/hほどで曲がっています。かなりのGですよ…

    しげ

    高速走行するときは、以降の章で紹介するポイントを十分理解しましょう

    10台先を見る

    10台前の割り込みが、自車追突のリスクを生む!

    アウトバーン、特に速度制限のない区間では僅かな時間で長い距離を進むので、ちょっとした危険行動が致命傷となります。

    仮に200km/hで走行していたら、1秒間に50mも進む。

    しげ

    僅かな交通環境の変化も見逃さなよいよう、可能な限り遠くの前方を見ましょう

    現地で運転指導を受けるとき、10台前を見ろ!とよく言われました。

    しげ

    とにかく、他車との速度差が大きいことに注意しましょう

    自分の前に他車が出てきそうなら、減速に備えておくのです。こちらの減速が遅れれば、追突事故に繋がりかねません。

    例えば、こういった状況です。

    目の届く限り先をみて他車の動きに注意しましょう

    少しでも危険を感じたり、リスクのある他車の動きをみたら、すぐに危険回避を考えましょう。

    上の動画の例のポイントは
    走行車線から追い越し車線に出てくることをいかに予測するか?

    です。

    走行車線の前方に遅い車がいれば、後続する走行車線の車が自車の前に出てくるかもしれません。

    それに気づいておけば、ブレーキペダルに足をかけたり、減速しておくことも可能になります。

    パッシングをして、自車の存在を知らせるもありです。

    常に未来を予測し、何かに気づいたら即行動!

    しげ

    これが、制限速度なしの超高速道路で車を運転するために心がけておくことです。

    スポンサーリンク

    10台うしろを見る

    後ろから追いつかれたら譲りましょう

    注意すべきは前方だけではありません。

    後方も同様に、認知できる可能な限り遠くまで確認しておきましょう。

    200km/h超で追い越しをかけていたら、次の瞬間アウディRS6にビタ付けされていたことがありました…

    しげ

    爆速の優良ドライバーは、かなり前からパッシングで存在を教えてくれます

    パッシングされたら走行車線へ戻りましょう。 走行車線が混雑していて戻れないときは、戻れるまでウィンカーを出して、戻る意思だけでも伝えると良いです。

    追い越しのときも後方注意

    追い越しをするときも、危険なタイミングで追い越し車線へ出てはいけません

    自分が200km/hを超えて走っていると意識が低くなりがちですが、自分より50km/hも100km/hも速い車がいることを忘れないようにしましょう。

    スポンサーリンク

    渋滞のときは

    渋滞に差し掛かったら、後続車に注意喚起

    こちらは、日本と同様です。

    高速走行から渋滞に入ったときは、ハザードで後続車へ注意喚起しましょう。

    後続車がハザードを点滅させるまでは、ハザードをキープです。

    緊急車両が来た際の対処の仕方

    追い越し車線と走行車線の間を開ける

    渋滞中、救急車などの緊急車両が来た場合は、道を譲らなくてはなりません

    緊急車両が走行する場所は追い越し車線と走行車線の間です

    追い越し車線の車は左側に、走行車線の車は右側に避けて、緊急車両が通れるようにしましょう。

    参考の動画を下の載せています。

    【緊急車両の避け方】

    適度に休憩をとりましょう

    長旅のときは、2時間に一度は休憩を取りましょう。

    アウトバーンの運転は、とにかく神経を使います。自分の思う以上に、疲労がたまっていますよ。

    大型のサービスエリアであれば、食事やトイレ休憩、給油も一度に済むのでおすすめです。

    ちなみに、トイレはどこへ行ってもほぼ確実に有料です。

    上の写真のような改札タイプが多いです。
    利用料を小銭で支払って、中へ入りましょう。
    他には、入り口のお皿に小銭を置くパターンもあります。

    お皿の近くでおばあちゃんが見張っていますよw

    しげ

    ちなみに改札タイプのものは利用料が70セントですが、50セント分の商品券が戻ってくるので、実質20セントです。

    これが商品券です。サービスエリア内の売店で使うことができます。

    サービスエリアの手前にはこういった標識がありますので、目印にしましょう。

    アウトバーンから降りるとき

    意思表示は早めに。300m手前からウィンカーを出し続けましょう。

    目的地のインターチェンジが近づいたら、早めに走行車線へ移動しておきましょう。

    数キロ手前からインターの看板で案内が出始め、300mからは、100mごとに次のような標識が設置されています。

    斜線の数が減っていくので、高速で走っていても直感的にわかりやすいです。

    降りるときは、右ウィンカーを出して意思表示をします。

    知っておきたいのは、日本で運転するときのウィンカーのタイミングでは遅いということ。

    降りる合図開始の場所は、300mの看板です。

    本線を離れるまで、ずーーとウィンカーを出しておくイメージです。

    しげ

    はじめは合図が手前すぎるように感じるかもしれませんが、これがドイツスタンダードです。

    出口は “Ausfahrt”

    出口を示す標識は、Ausfahrt です。

    クルマの出口」を意味します

    しげ

    降りるときは、十分に減速しましょう。

    ランプが思いもよらぬ急カーブであることや、小さい丘の先に車列がいることがあるからです。

    のこり100m地点では、80km/hくらいまで落としておくと良いです

    速度制限の看板が出ていたら、それに従って速度調整してください。

    行楽シーズンは他国のドライバーも多い。予期せぬ危険運転に要注意。

    ドイツは欧州の中心

    ヨーロッパにはシェンゲン協定があり、加盟国間の移動が自由にできるという利点があります。

    ドイツとその隣接国もこの協定を結んでいるため、国境を超えるときもパスポートの提示などの面倒な手続きはありません。

    したがって、特に行楽シーズンには、ヨーロッパ中を車で行き来する人が多いのです。

    そしてドイツはヨーロッパの中心にあるため、各国のドライバーがドイツ国内を車を運転して通ることになります。

    実際、夏季になるとドイツ国内では様々な国のナンバーの車を見かけます。

    アウトバーンに慣れないドライバーもいるので、要注意。

    その分、アウトバーンに慣れていないドライバーが増えるのも事実です。
    こうした時期には、普段以上に注意を払って運転しなくてはなりません。

    危険な例を紹介します。

    そこで出てくるか!?というタイミングで自車の前に出られてしまう事例です。

    アウトバーンに精通したドライバーであれば、こんなタイミングで追い越し車線に出てくることは絶対にありません。

    もうひとつ。
    こちらをご覧ください。

    ガンメタの車 (Skoda Fabia)が自車の存在に気づかずに、車線変更をしてきて接触してしまいました。
    ドライバーはパッシングをして自車の存在を知らせようとしましたが、残念ながら相手は全くこちらを見ていませんね。
    運転される際は、こういったリスクがあるということも、ぜひ覚えておいてください。

    まとめ

    本記事では【ドイツのプロドライバー直伝】ドイツで運転するときの基本【アウトバーン編】について書きました。

    • アウトバーンへの入り方・降り方
    • 走行すべき車線
    • 制限速度
    • 渋滞のときにすべきこと
    こういった内容について説明しました。

    その上で、安全に運転するためのポイントや、行楽シーズンの注意点について紹介しました。

    みなさんがアウトバーンを安全に利用できることを祈っています!

    しげ

    お読みいただきありがとうございました。
    しげでした。

    関連記事
    【ドイツのプロドライバー直伝】ドイツで運転するときの基本【市街地/郊外編】
    【ドイツでの運転】スピード違反をしないために気をつけるべきシーン5選

    スポンサーリンク

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です