こんにちは、しげです。
クルマ好きとして、幼い頃からMT車を所有すると心に決め、免許を取ってからは毎週のようにドライブに出かけています。
自動車技術者になってからもこのMTが楽しいという感覚に変わりはないのですが、仕事柄クルマの見方がガラリと変わってしまい、なぜMTが楽しいと感じるのか?についてエンジニア目線で考えるようになりました。
そんなわけでこの記事では、MTの何が楽しいのか、私が考えた3つの理由について、一部技術的な目線も交えて紹介します。
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MT車が楽しい理由1「運転が簡単過ぎないから」
MT車が楽しい理由の1つ目は、運転が簡単過ぎないからです。
人は、多少難しい事のほうが楽しさや面白さを感じます。MT車は運転に独特の操作が必要で、AT車に比べると操作の難易度も高くなります。
発進時・停止時
例えば、車を発進させるときの操作は
- 左足でクラッチを切り
- シフトレバーを1速に入れ
- クラッチを徐々に繋いでタイヤに動力を伝達させる
クラッチのつなぎ方が雑であればエンジンが止まってしまったり、ショックが発生したりしてしまいます。停止時も、止まり切る前にはクラッチを切ってエンジンの動力を断ち切らなければエンストしてしまいますね。
加速時・減速時
加速時や減速時も、[/list]- 適切なタイミングで
- 適切なギヤを選択する
という操作をしなくてはなりません。
MT車はAT車に比べて運転中に考えることが多く、その分運転の難易度が高いと言えます。
上級テクニック
更に、上級ドライバーは、減速時にヒール&トゥという難易度の高い操作をします。
ヒール&トゥとは、次の加速するときに備えて、減速しながら適切なギヤにつないでいく操作のこと。[/list] ブレーキを踏み減速しながら、クラッチを切って変速をし、クラッチをつなぐ前にアクセルを踏んで変速後の適切なエンジン回転数に合わせる。
この操作は、2つの足で3つのペダルを操り、その間に左手(右手)でシフトレバーを操作なければなりません。[/list] MT車の操作の中では最も難易度が高い分、上級者でもうまく変速できたときは満足感が高いです。
このように、MTには特有の操作や独特の体験があるのです。
なお
しげ
ゲームでもスポーツでも、簡単にできてしまうことは飽きてしまいますからね。
いつでもどこでも簡単にいかないからこそ、楽しさにつながるのです。
MT車が楽しい理由2「力を伝える部品を直接操作するから」
MT車が楽しい理由の2つ目は、力を伝える部品を直接操作するから、です。
MT車のシフトレバーは内部の変速を司る部品につながっていて、
エンジンの力の伝達先を切り替える部品を、ドライバー自らの力で操作する仕組みです。
しげ
一方のAT車は、“変速操作をする装置”を操作する。
エンジンの力を伝える部品を間接的に操作します。
その後“油圧制御ボディ“がバック専用の歯車を所定の位置まで動かす。
しげ
野球に例えるなら、AT車がテレビゲームのコントローラを操作して画面越しに野球ボールを打つのに対して、MT車は実際にバットを持って野球ボールを打つようなものです。
なお
しげ
MT車のシフトレバーを操作するときの力は、内部の部品が変速操作中のみ操作力に対抗する形で発生させているもの。
そのとき発生する力は、人が操作したときに不快感を感じず、心地よく操作感を得られるように設計されるのです。
しげ
MT車の変速操作はただの操作ではなく、変速装置を直接操作することによって、ドライバーが心地よい操作感を得られるものなのです。
MT車には、官能的な付加価値があるのです。
スポンサーリンクMT車が楽しい理由3「ドライバビリティが高いから」
MT車が楽しい理由の3つ目は、ドライバビリティが高いから、です。
なお
しげ
車に限らず、人が操作するものは、操作する人の思い通りに動くことが良しとされるでしょう。その程度が優れていれば、楽しい!という感覚に繋がります。
では、MT車で「思い通りに動く」とは、どういうことでしょうか。
変速に遅れがない
MT車はAT車とは異なり、変速操作に遅れがないのです。
AT車で変速するには、アクセルを強く踏み込んだり、パドルシフトを操作したりすることが必要ですが、いずれの場合も操作してから遅れて変速します。
一方のMT車は、操作した瞬間に変速は終わっています。手と足による操作そのものが”変速”なので、当たり前といえば当たり前ですが、遅れは一切ありません。
そもそも遅れという概念がないということもできます。
駆動力を思った通りにコントロールできる
ドライバーは運転中、周りの交通状況や、思い描く走り方に合わせて、駆動力をコントロールしています。
しげ
MT車では、この駆動力のコントロールがやりやすい。
強い加速が必要なときは低いギヤを選んでおいたり、駆動力を緻密にコントロールしたいときは高いギヤを意図的に選びっぱなしにしたりできる。
一方でAT車はその名の通り自動で変速するので、ドライバーの意図しない駆動力が出てしまうことがある。
こうなると、加速したいのに加速力が出るまでに時間がかかったり、ゆるやかに加速したいのに加速しすぎてしまう、といったことが起こります。
なお
しげ
なぜこういったことが起こるかや、ドライバビリティについては、別の記事で少し踏み込んで書きました。 >>MT車のドライバビリティが良い理由
なお
確かに最近のATはよくできていて、変速の遅れを小さくしていたり、ドライバーの意図通りに駆動力を出したりして、違和感なく運転できるようにセッティングされています。
でも、ドライバビリティを突き詰めればまだまだMT車には及びません。
“MT車ような運転のしやすさ”はAT開発の永遠の目標といえます。
スポンサーリンクまとめ
この記事では、MT車が楽しいと感じる3つの理由について書きました。
- MT車が楽しい理由1「運転が簡単過ぎないから」
- MT車が楽しい理由2「力を伝える部品を直接操作するから」
- MT車が楽しい理由3「ドライバビリティが高いから」
しげ
お読みいただきありがとうございました。
しげでした。