MTが好きだけどどうしても買えない。
MTを譲らないご主人を説得されたい奥様。
せっかく買うならMT車のようにATを選びたい。
そんな方へ。
ひとくちにATといっても、あなたが思う以上にAT車は多種多様です。
MT車なら何でもいい。
AT車なんてどれも同じ。
そう思わずに、ポイントをおさえて車種を選び、運転が楽しいと感じられるクルマを探しましょう。
優れたAT車ではとても楽しく満足度の高いドライビングを経験できます。
本記事では、MT車の楽しさとはなにか?を踏まえて、運転の楽しいAT車の選び方を紹介します。
この記事の著者は、しげ。
変速機開発経験のあるエンジニアです。
もくじ
MT好きはMTのなにが好きなのか?
MT車のように楽しいATを選ぶために、まずはなぜMT車が楽しいのかを考えてみましょう。
MTの何が楽しいか?
大きく分けると次の3つになります。
- 操作そのものが楽しい
- 操作したときのフィーリングが気持ちよくて楽しい
- 加速と減速を思い通りに操れて楽しい
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MT車の操作そのものが楽しい
シフトチェンジや、左足を使ったクラッチペダルの操作はMT独特のもので、ATにはない楽しさがあります。
機械好きにはグッと刺さる!
しげ
なお
操作したときのフィーリングが気持ちよくて楽しい
これは1つ目の操作の延長線上です。
操作そのものに慣れてくると、シフトレバーで変速するときの操作感が気持ち良いと感じるようになります。MTはATよりシフトレバーを操作する回数が多く、シフトフィールにこだわった設計されたモデルも多い。
こんなことが感じられるのも、MT独特の楽しさです。
加速と減速を思い通りに操れて楽しい
MT車の操作を何不自由なくこなせるようになると、MT車の操作性の良さに価値を感じるようになります。
MT車は加速と減速を思い通りに操れて楽しい
。
どんな操作をすればクルマがどんな動きをするか、分かりやすい。
これを、ドライバビリティが良い、といいます。
MT車はドライバビリティが良く、多くのファンから支持を集めています。
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MT車のドライバビリティが良い理由
MT車らしいAT車とは
それではこれらの特徴のうち、MTの本質ともいえる特徴はどれでしょうか?
操作の楽しさでしょうか?
あるいは、操作フィールでしょうか?
しげ
MTの真の価値は、ドライバビリティが良いことなのです。
MT車の操作は、優れたドライバビリティを得るための手段に過ぎません。
言い換えれば、AT車であってもMT車のようにドライバビリティが優れていれば、運転して楽しいと感じられるのです。
MT車らしいAT車とは、MT車のドライバビリティを具現化できているAT車のことです。
スポンサーリンクこんなATを選びましょう
それでは、ドライバビリティに優れたAT車を選ぶために、どんなポイントに気をつければ良いでしょうか?
- おすすめするAT車
- おすすめしないAT車
- 試乗のポイント
について紹介します。
おすすめはこんなAT車
MTのようなドライバビリティをもつATの特徴を紹介します。
以下の仕様や装備があれば、ドライバビリティが良い傾向にあります。
MTモード付き・パドル付き
MTモードがついたATは、ギヤ段をドライバーの意志で選択可能です。
強い加速が欲しいときや強いエンジンブレーキで減速したい時など、手動でギヤ段を選んで駆動力をコントロールできる機能です。
MT好きなあなたへは、説明不要かもしれませんね。
多段であること
変速段が多いとレシオの段間比が小さく、素早く変速できるようになります。
変速の回数も多いので、リズミカルに感じるでしょう。
世の中のほぼすべてのMT車が6速以下であるのに対して、最近のAT車は9速や10速といったものもあります。
7速以上のモデルを選んでおけば、素早くリズミカルな変速といった観点ではMT車以上の価値があるでしょう。
DCT
基本構造がMTであるDCTは、
MT車と同じくらい高いダイレクト感があります。
構造上、変速時間がとても短く、レスポンスの良さに優れる変速機です。
キックダウンクリック付き
キックダウンクリック(キックダウンスイッチ)は、キックダウンをするためのスイッチ。
MT車のように、駆動力コントロール性とレスポンスを両立させるために設定されます。
このスイッチはアクセルペダルを踏んだ先にあり、ペダルを踏み抜いて押すことができるもの。
キックダウンクリックを踏み抜くことでレスポンスよくダウンシフトされますし、クリック手前でアクセルを操作することで、意図せぬダウンシフトをさせずに済みます。
おすすめしないAT車
無段変速機
無段変速機は構造上、エンジン回転とタイヤの回転が比例せず、ダイレクト感が薄いです。
有段トランスミッションのように擬似的な変速を演出するモデルも増えてきていますが、いかんせん変速(もどき)が遅い。
日本車に多い一般的なCVTだけでなく、トヨタのTHSIIやホンダのi-MMDなどのハイブリッドシステムも、ここで説明する無段変速機にあたります。
ということで、ドライバーがクルマの加速状態の情報を掴みにくくレスポンスも悪いため、無段変速機はMT車好きの方にはおすすめしません。
変速段の少ないAT
上に書いた多段の逆で、変速段が少ないとレシオの段間比が大きいため変速した時の駆動力の変化が大きく、操作しづらいことがある。
変速時間も長めなので、鈍くさい印象があります。
そもそも4速や5速のATは10年以上前に発売されたモデルであるはずなので、ハード・ソフトともにまだまだ荒削り。
しげ
AMT
AMTはMTのクラッチ操作のみを自動化したもの。
変速時間はMTと同等ですが、自動でクラッチが操作されている間はドライバーが待ちぼうけなので、変速時間が長いと感じてしまうのです。
また、この長い変速期間中はクルマが減速してしまうため、合流などで加速するために低いギヤに変速するシーンでは加速したいのに減速してしまう、といった怖い思いをすることもあります。
試乗のポイント
試乗する機会があるのであれば、以下の観点でクルマを確認してみましょう。
ダイレクト感があるか?
ダイレクト感とは、ドライバーのアクセル操作と、加速力、エンジンの音がピタリとマッチすること。
あなたはアクセルを操作した時、今クルマがどれだけ加速しているのか、減速しているのかを視覚、体に感じる力、そしてエンジンの音で無意識に感じ取っています。
あなたの感じ方に不自然がないかを確認しましょう。
具体的には、次のポイントをチェックすると良いです。
- アクセルを踏んですぐに駆動力がでるか
- アクセルを踏んだときの加速とエンジン音の上がり方がマッチしているか
- アクセルを戻したときの減速とエンジン音の下がり方がマッチしているか
加速とエンジン音がマッチしていない例 (Honda CR-V / i-MMD)
クルマは加速しているのに、エンジン回転は一定。 スピードの上がり方とエンジン音の上がり方がマッチしていませんね。
加速とエンジン音がややマッチしている例(Honda Accord / CVT)
最近のCVTはドライバーが自然に感じるようにセッティングされていますが、実際に試乗するとまだ不自然さが残ります。
加速とエンジン音がマッチしている例 (VW Tiguan / DCT)
こちらのクルマはVW TiguanのDCTです。
DCTはエンジン音と加速、 ドライバーが感じる力がピタリと一致する気持ちよさがあります。加速力、減速力、クルーズをコントロールしやすいか?
- アクセルを踏んだときの加速度
- アクセルを戻したときの減速度
が、あなたの感覚にマッチしているかを確認しましょう。
操作しにくい例
必要以上にダウンシフトしないか?
必要以上にダウンシフトしないか?も、MTのような操作性であるかどうかを判断する上で重要です。
ダウンシフト、キックダウンは大きな駆動力を得るためのものですが、わずかなアクセルの踏み増しで積極的にダウンシフトされると、あなたは実際以下に「弱々しいエンジンだな」と感じてしまいます。
ダウンシフト = 駆動力が足りない、だからです。
さらには、変速中は駆動力が途切れたり、変速後はアクセルの踏み込み量が変わってしまうので、運転しづらい。
必要時以外には勝手な変速をせず、できるだけギヤを固定して走ってくれるセッティングのATが好ましいです。
そんなAT車であるかどうかを確認しましょう。
スポンサーリンクまとめ
この記事では- MT車好きはMTのなにが好きなのか?
- MT車らしいAT車とは
- MT車好きが選ぶべきAT車の特徴
について書きました。
MTの良さは操作そのものではなく、ドライバビリティが良いことです。
ひとくちにATといっても、あなたが思う以上にAT車は多種多様。
装備や試乗のポイントをおさえて、MTのような運転の楽しさを感じられるAT車を選んでみてください。
しげ
満足の行くクルマ選びができることを祈っています。
しげでした。