【エピソード9選】日本からは見えぬニュルブルクリンクの空気感

こんにちは、しげです。
今日は世界的に有名なドイツのサーキット、ニュルブルクリンクの雰囲気ついて書きます。

クルマ好きなら知っている、ニュルブルクリンク、通称「ニュル」。
ニュルには2つのコースがありますが、一般にニュルといえば、北コースのノルドシュライフェの方が話題になります。1周20km超、標高差300m、コーナー数170…。
道幅も狭く路面もうねっていて、ブラインドコーナやジャンピングスポットもあり…
超難関コースとしてとても有名になりました。

このスポーツカーはニュルでセッティングされたとか、ニュルのタイムがどうだったとか、ニュルブルクリンクがさまざまなモデルの訴求ポイントや性能の指標になっていることは、日本でもよく知られていますね。ある車種では、グレードの名前になっていたりもします。

そんなニュルブルクリンク、実際に訪れてみると日本からは見えない独特の雰囲気があるんです。 これは、「長い」とか「難易度が高い」とか、そんな言葉では説明しきれない。

そんなニュルの独特のニオイを少しでもお伝えすべく、この記事にはドイツ在住時代に私がニュルブルクリンクに通って感じた、ニュルでの驚きや空気感を記録しました。

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ニュルブルクリンク北コースへ到着しても誰もいない!?

夏のある日。
この日は前回から約1年ぶりにニュルを訪れました。
ニュル初の妻も一緒なので、今日の目的はRing Taxi。

RingTaxiは、プロドライバーの運転でハイパフォーマンスカーに乗って北コースを一周できる、世界最速のタクシーサービス。
動画付きで一周300€とかなり高価ですが、スポーツカーの聖地で限界走行を体験できるとあって、ニュルでは人気のサービスです。

今日は10:30から、ツーリストの枠でコースがオープン予定。
一般ユーザがコースを走行できる日です。
早朝に家を出発して渋滞に巻き込まれることもなく、9:30に現地に到着しました。
ゲートがあくまであと1時間ほどです。

ところが…

1時間前の時点でコース入口に誰もいないんです。
走行する人はおろか、土産屋やレストランのDevil’s Dinerのスタッフもいる気配がない。
Ring Taxiの窓口もしかり。

駐車場には、私のゴルフと他数台しか駐まっていません。
そのクルマにも、人の姿はなし…。

果たして今日はみんな走るのだろうか?
コースは開くのだろうか?

そんな雰囲気です。
こんな状況なので何度もカレンダーを確認しますが、やはり今日はツーリスト枠でコースが開く日。
大勢がスポーツカーを走らせに来るはずです。

10:00になると、とりあえずDevil’s Dinerが開いたので、食事をとることにしました。
こんなハンバーガーなどもあり。

ところが、席についてふと外を見ると…
コース入口の駐車場がスポーツ走行を待つ人でいっぱいになっている!?

本当に、いつの間に来たの?って感じです。
ほぼ同時に、RingTaxiの窓口や土産屋もオープンして、とたんに活気づくんです。

日本はサーキットを走る時は何時間も前から準備をしますが、ここではどこからともなく皆が集まってきて、たちまち全開で走り出してしまいます
サーキットと言うよりも、有料のワインディングのような感覚ですね。

ニュルブルクリンクのコース上の台数にビビる

ニュルに来て驚いたのが、コースを走行している台数。
ゲートが開いて数十分で、コース上に100台以上のクルマが走っています
日本の富士で上限が50台ほどなので、その2倍以上がコース上にいることになります。

驚くのは、その状態でゲート前の駐車場70台分は満車であること。
外の砂利駐車場にも走行しそうなクルマが100台以上は駐まっていますから、いかに多くの台数が走りに来ているかが分かります。
コースが長いとはいえ、驚きの台数です。

北コースのゲート付近は、日本のサーキットのようにピットがあるわけでありません。
舗装された駐車場60台ほどと、その外側に砂利の駐車場があるのみ。
走行する車は、別の場所で整備を済ませてからコースへ入場することになります。

クルマをローダーに載せ降ろしするのも、こんな草の上でやっちゃいます。

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ニュルブルクリンクにはドイツ国外からもドライバーがたくさん!

ニュルで走行している車を観察すると、意外とドイツ国外のナンバーが多いこと気づきます。
北はノルウェー、南はイタリアと、欧州各国からスポーツカーが集まっていることが分かります。
多くの人は夏休みをとって、数日ニュル周辺に滞在してから帰国するようです。

私が現地で知り合ったイタリア人ドライバーもその一人。
ガールフレンドと2日かけて自走してきて、ニュルを走って1泊。
翌日もまた走って、また2日かけてイタリアへ帰っていきました。

そんなわけで各オーナーとは言葉が(英語が)通じないことも珍しくなく、クルマに興味があって話しかけても、コニュニケーションが取れないことが結構ありました。
これは私が英語しか話せないことも影響していますが、特にフランス人とは会話ができないケースが多かったです。

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イギリス人はシルバーストンよりニュルブルクリンクに来る

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国外からの訪問者で最も多いと感じたのが、イギリス人です。
右ハンドル、黄色と白のナンバープレートのクルマは本当に多い。

駐車場にいたイギリス人に話しかけると、こんなことを教えてくれました。

イギリスにはシルバーストンがあるけど、とにかく走行料が高い。
ニュルでは1周30ユーロで走行できるから、イギリスからの移動費と宿泊費を合せても、ニュルとシルバーストンは費用面であんまり変わらない。

となれば、ドイツへの旅行要素もあるニュルブルクリンクへ走りにくる方が、彼らにとって魅力的なのです。

ニュルブルクリンクでは同一人物が2輪でも4輪でも走る

7月のある日。

とあるドライバーが、赤い70スープラドゥカティのムルティストラーダを北コース脇の駐車場に持ち込んでいました。
スープラで、ドゥカティを牽引してきたんです。
彼はドゥカティを降ろすと、ヘルメットをかぶってバイクにまたがり、北コースへスポーツ走行へ出かけていきました

その日の夕方、私もポイントを変えて、ブリュンヒェン(Brünnchen = 通称 “YouTubeコーナー”)の駐車場でスポーツ走行を眺めていました。

すると今度は、さっき見たあの70スープラが、コーナの向こうから現れたんです。

このオーナは、ドゥカティでもトヨタでも、つまり2輪でも4輪でもサーキット走行を楽しんでいたのでした。

スープラはドゥカティの牽引専用ではなく、自らもスポーツ走行をするために来ていたんですね。 ヨーロッパの牽引文化は、キャンプ道具や馬に限らない…そんなことを学んだ日でもありました。

牽引の話題ついでに、こんなシーンも。
3シリーズで3シリーズのフラッグシップを牽いてきた、ジャーマンガイたちです。

こういった光景を見ると、日本の常識を覆されてしまいます。

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ニュルブルクリンクには赤ちゃん連れ・ペット連れで遊びにくる

ニュルのコース入口付近にいると、実にいろいろな人に出会います。
スポーツ走行をする人は、家族と来場することも珍しくなく、赤ちゃん連れやペット連れも高頻度で目にしました

Devil’s Diner下のトイレ横の柵に繋がれたワンちゃんを、私は幾度となく目にしています。
みんなおとなしくていい子なんですよ。

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おじいちゃん・おばあちゃんもクルマ遊びで興奮

こんな人が来ますシリーズで、もう一発。
ニュルには、クルマ好きのおじいちゃんおばあちゃんも走りに来ます。
ここまで来ると、もはや日本のサーキット像は全く通用しません

晴れた夏の日、北コース入り口にモイシュパト(Meuspath)のガソリンスタンド「ED」方面からやってきた、マツダのユーノスロードスターに乗った老夫婦の楽しげな表情を忘れることはできません。

ニュルを日本で例えると大黒PAとか辰巳第一PA

以上、ニュルならではの話を、私の経験を交えながら紹介しました。
世界最難関のサーキットと呼ばれますが、一方でそれを楽しむ人は過度に緊張することもなく、日本のサーキットとは空気感が全く異なります。

クルマ好きを中心に家族やペットが集まって楽しそうに時間を過ごしている。
なんでしょうか、この雰囲気をもつ場所を日本で例えるなら、どこかのサーキットよりも大黒PAとか辰巳第一PAが近いです。

ちなみにあまりに興奮が過ぎると、誰かがコース外で事故って大渋滞が起きちゃったりします。

こんなところも、どこかのパーキングエリアに似ている気が…。

実は「半周走行」ができるニュルブルクリンク

最後に小ネタを一つ。
実はニュルの北コースは、アーデナウからコースインして半周することもできるんです。

これがアーデナウの入り口。

ある日、ニュルでまもなく友人と落ち合おうというとき、電話をすると「いまアーデナウにいる。これからそっちにむかうよ!」との返事。
ところが程なくして、彼は北コースから現れました。

「下道めんどくさいから北コース走ってきた。こっちの方が早いし。」

渋滞嫌だから高速で来たよ、的なノリ。
ニュルをなんだと思っているのだ…

いやいや、彼はおよそ30万円するニュルの年間パスの保持者
熱狂的なニュルloverです。

彼を含むニュル・エンスージアストとのエピソードは、また別の記事で。

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