ニュルブルクリンクに通い続けた結果クルマに情熱を注ぐドイツ人と友達になった話

ニュルに通うようになってしばらくした頃。

こんな機会はそう簡単にあるものではない、ドイツに住んでいる間にニュルで友達の一人や二人つくって帰りたい、なんて思うようになりました。

これは、そんな私がとある週末にニュルブルクリンクへ遊びに行き、熱狂的なニュル男と友達になった話です。

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コミュニケーションは難しい!これは言葉の壁ではない

その日はすごく天気が良くて、来場人数が一年の中でピークに達していました。
とにかく人が多いので、ニュルへ遊びに来ているクルマ好きと交流を図るには絶好のチャンス。
しかし、人と話すというのは難しいものです。

そもそも、そこにクルマがあっても、ドライバーがいないことが多いんです。
やっとのことで出会えたスイスから来たドライバーに話しかけてみますが、やはり簡単な会話で終わってしまいました。
「やはり」というのは、まあ大抵そんな感じが続いたから。

英語ができないからとか、その人の母国語が話せないから、とか、残念がらそういう理由ではないんです。
彼らはきっと、訳のわからないことを訊くアジア人と話すより、さっさと走ったほうが楽しいでしょからね。
そのスイス人は午前だけでニュルを15周もするような人だったから、なおさらです。

いつものように時間だけが過ぎていく

なかなか交流を図るなんてのは容易ではないです。
今度話しかけたこの人は、そもそも英語を話せない

今日も、もう15:00か…。
時間だけが過ぎていく、と思っていたとき、さっきからDevil’s Dinerの東側に止まっている黒のシビック タイプRのドライバーが現れました。
ナンバープレートを見るに、イタリアから遊びに来ているのでしょう。
ここで彼に会えたことが、私の欧州滞在を非常に充実させることになろうとは思いもしませんでした。

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アレックスとの出会い

その彼は、ヘルメットを持って出発の準備をしているようでした。
こちらには気づいていない様子。
これから北コースを走るみたいなので、一周して帰ってくるのを待つことにしました。

10分後、ラップを終えた彼が戻ってきました。
しかも、場内の駐車場にクルマを駐めてくれたんです。
多くのドライバーはこの駐車場を素通りして場外へ出ていってしまうので、これはラッキー。
とりあえず、話しかけてみます。

How many laps did you drive today? (今日は何周したの?)」と訊いたら、前の周で記録したラップタイムを答えてくれました。
全く問題ないです。
大抵のひとの英語力なんて、このくらいです。
人柄が良いので、どんどん会話が進みます。

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彼とニュルを一周!

目の前に彼のクルマがあるので、コミュニケーションは簡単でした。
クルマが好きな者同士ですから。
彼の自慢はブーストアップして向上させたパワーとのこと。
その話になったとき、次のラップを一緒に走らないか、と提案してくれました。

こんなことめったに無いです。
二つ返事でOKしました。
実は彼はイタリアからパートナーと来ていたので、彼と私が次のラップを走り、そのパートナーと私の妻が駐車場で待つことになりました。

ホンダ好きの私が、初めてのシビックタイプRでのニュルを、欧州のホンダファンと経験するとは夢にも思いませんでした。
彼は終始自身を持ってドライブしていました。

無事に一周を終え、記念に一枚。
ところがこれで終わらなかったのが、この日のすごいところでした。

ニュル狂のダニと知り合う

なにやらアレックスが、知り合いの男を連れてくるといってレンタカーの事務所の方に行ってしまいました。
戻ってくると、やたらと口数の多い低身長の男と一緒です。
彼の周りにはもう何人か友人らしき人がいました。

一瞬警戒しましたが、私と目が合うなり、「お前が日本から来たやつか!」と言う。
「ダニだ、よろしく。君は?」
とありあえず私も自己紹介をして、なぜここに来ているかを説明しました。
そんな人と会うなんて、と言わんばかりに興奮した様子でした。

話をきくと、彼はドイツのボン出身で、熱烈なニュルファンかつホンダファンらしいです。
その人柄ゆえにかなりの数の友人がいるらしく、彼と一緒にニュル周辺を歩くと、いたるところで知り合いと軽い会話を交わしていました。
ニュルへは毎週末のように通い、サーキットの近くにガレージを借りてビジネスも始めています。

ダニの友人であるクリスは、同じくニュル熱狂者。
北コースの年間パスを持ち、シーズン中は200週くらいするそうです。
エンジンをK20にスワップしたシビック(EG6)で、7分台を出すらしい。
コースが短いといはいえ、混み合うツーリスト枠で7分台とは、相当の腕の持ち主。
ダニの図らいで同乗させてもらう話が持ち上がったのですが、残念ながらクラッシュの影響でコースがクローズとなり、実現ならず。
次のチャンスへ持ち越しとなりました。

ちなみに、なぜアレックスがダニを知っていたかというと、私と会う直前にダニからアレックスに話しかけたのだといいます。
ダニの圧巻のコミュニケーション力のおかげで、今日ここにいるみんなが繋がりました。

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イタリア人とドイツ人と日本人が日本車に乗って食事へ

夕方になっても会話は途絶えません。
ダニの提案で、アレックスと彼のガールフレンド、ダニ、私、私の妻の5人で夕食に行くことになりました。
北コース入り口の反対側、アーデナウまでダニのインテグラで移動します。

ちなみにこのインテグラ、福岡県警発行の車庫証明のステッカーが貼られていました。
日本から輸入したのだそう。
相当な情熱持ちのマニアです。
「俺のインテグラに日本人が乗っている!信じられない!」
相変わらず彼は興奮状態。

到着したのはアーデナウにあるピザ屋で、外の席にみんなで座りました。

ずっとホンダ党のアレックス。
歴代シビックを乗り継いでいます。
彼女もまたホンダ車好きで、なんと明日、ダニから不要になったシビック用のスポイラーを貰う約束を取り付けていました。 よく需要と供給が一致したものです。

ダニも熱狂的なホンダファンで、自分のガレージでエンジンを組み立てることが趣味。
ホンダのK型エンジンが大好きで、どんなクルマにもK型エンジンを載せ替えてしまう「Kスワッパー」です。
日本車が大好きだが、部品を買うときの関税が悩みのタネだと笑っていました。

その日偶然出会ったイタリア人とドイツ人、日本人が、一つのテーブルを囲み、ニュル談義、クルマ談義に花を咲かせる。 こんな経験をさせてくれた皆に感謝せずにはいられない…
そう考えながら、彼らと食事を楽しみました。

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思い出づくりのニュル一周

そんなわけでめでたく友人ができたので、翌日もニュルを訪れました。
今日はアレックスがイタリアへ帰国する日のことで、記念に皆でニュル一周。
ダニがアレックスのタイプRに興味を示すと、アレックスはダニに自分のクルマを運転する機会を与えていました。
「同じパッションを持っている者同士」
と、アレックスは本当に良い人柄なんです。
それなのにダニは、自分だけヘルメットを被ろうとしたちゃっかりしたヤツ(笑)

ダニはニュル近郊に住んでいてコースに慣れていることもあって、走りは速くて安定していました。
過去に北コースを走行中、メガーヌで横転して車両を全損させた経験もあるので、無理もしません。
特に危険なシーンもなく、無事に一周を終えました。

走り終わっても、ニュルブルク城ふもとのベンチでクルマ談義が続きます。
クリスも合流してくれました。

アレックスもこの旅最後のラップを終え、なんだかんだで気がつけば夜の7:00。
改めてみんなに感謝を伝えて、別れの時間となりました。

情熱よ地域を超えろ!

クルマの聖地でクルマを通じて国際交流ができたこと、私の人生の宝となりました。 その後、日本に戻っても彼らとはやり取りが続いています。

しかし考えてみると、クルマという興味の対象は同じでも、クルマを取り巻くコミュニティ同士は地域間ではほぼ関わりがありません。

当たり前といえば当たり前かもしれませんが、これだけ情報技術が進化した現代においては、もっと相互にコミュニケーションをとって、カーライフに新たな発見があってもいいよな、と思うようになりました。
この強烈な経験が、私がこのブログで欧州のクルマ好きに思いを馳せながら記事を書くことのきっかけとモチベーションになっています。

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